


甲状腺ホルモンは心身の調子を整える働きをし過不足により多様な不調が現れます。甲状腺疾患は女性に多く、PMSや更年期症状と似た症状のため見逃されがちです。甲状腺の異常を調べる採血検査は高価格で、健診や受診時の採血検査セットには通常含まれず、多くの人が未検査による未診断のままです。その結果、体調不良や仕事の生産性低下(プレゼンティズム)を招き、企業にとっても大きな損失となっています。経済産業省は更年期症状による経済損失を1.9兆円*1 と試算しました。更年期女性のうち15%が甲状腺疾患との報告*2 から、甲状腺疾患による経済損失は約2850億円と推定されます。この経済損失は甲状腺疾患の診断・治療で軽減可能であり、費用対効果の観点からフェムテックによる検査対象の選定が有効と考えます。
*1 経済産業省の「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」(令和6年2月)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/jyosei_keizaisonshitsu.pdf
*2 片井みゆき:東女医大誌89(3): 61-69, 2019.6
更年期症状に紛れている女性の甲状腺疾患による経済損失2850億円(推定)を解消するために、甲状腺検査の推奨度を、AIを活用して早期に見つけ出す新しいフェムテックサービスを開発・実証します。具体的には、女性の自覚症状を的確に把握・解析するAI「WaiSE」(ワイズ)と、健診の採血項目を利用して甲状腺機能を推測するAI「AITS」(アイツ)を統合した仕組みの開発を目指します。自覚症状と健診で受ける一般的な採血によって、甲状腺疾患の予測を低コストで簡単に知ることは、甲状腺疾患の治療の促進、または未治療者の減少を可能とします。
本事業では「プレゼンティズムに隠れた疾患の早期発見サポート」という社会的意義を持つ新しいタイプのフェムテックを開発します。働く世代の女性に最多の内科疾患「甲状腺疾患」に注目し、私たちが開発したAI「WaiSE」(ワイズ)と「AITS」(アイツ)を用いて「既にある健診データ」と「本人の自覚症状」を基に、低コストで甲状腺検査推奨度を提示する仕組みを構築します。「更年期症状・月経随伴症状に隠れた疾患」の早期発見を促すことにより、女性のプレゼンティズムとそれに伴う経済損失を解消し、「健康経営」と「女性活躍」に貢献します。
サービス提供者
株式会社コスミックコーポレーション
実証を通じて提供している
サービス名
WaiSE x AITS(ワイズ x アイツ)
令和7年8月時点のサービス状況
実証中
サービス概要
「本人の自覚症状」(WaiSE)と「既にある健診データ」(AITS)を基に、甲状腺検査推奨度を示すAIフェムテック。本アプリは従来のフェムテックに無い「プレゼンティズムに隠れた疾患の早期発見サポート」という社会的かつ医学的意義を持つ特徴がある。WaiSE(ワイズ)は性差医学・医療のエビデンスに基づき女性に特化した診断アルゴリズムを実装、AITS(アイツ)は健診結果から甲状腺機能異常を予測する技術である。今回、二つの高精度AI技術を連動させ、性差と年代を考慮して働く女性にカスタマイズした開発を行い、甲状腺検査推奨度を提示して甲状腺疾患の適切な診断・治療を促す画期的なフェムテックと言える。
サービス導入先・利用者
〇個人向けサービス
〇女性向けのサービスのみ
〇男性向けサービスを含む
対象としている法人の性質や
サービスの対象者の目安
〇法人種別に制限なし
〇規模不問
①体調不良を感じている働く世代の女性
②女性活躍推進と健康経営に取り組んでいる法人
③女性活躍推進を目指す自治体
④コミュニケーションやセルフマネジメントの研修に取り組んでいる法人
サービスのURL
サービスの問い合わせ窓口となる
メールアドレス
| 代表団体 | 株式会社コスミックコーポレーション |
|---|---|
| URL | https://www.waise-healthcare.com/ |
| 参加団体 | 国立大学法人 政策研究大学院大学 医療法人社団ミッドタウンクリニック |
| 協力団体 | 社会医療法人社団カレスサッポロカレス記念病院 |
※実施体制は2025年8月31日時点で確定しており、掲載を希望した団体を記載
事業のご担当者から
ひとこと
株式会社コスミックコーポレーション/片井 みゆきさん
更年期症状と類似し見逃されやすい「甲状腺疾患」に対し、2つのAI「WaiSE」と「AITS」を用い、自覚症状と健診データから検査推奨度を示す革新的フェムテックを開発・実証します。性差医療の知見に基づくWaiSEと、甲状腺機能を予測するAITSをコラボレーションし、コスミックコーポレーション(プロジェクトリーダー菊池唯史氏)、実証を担うミッドタウンクリニック(吉形玲美医師)と共に本事業を進めます。標準健診に含まれない甲状腺検査の未受診・未診断を補い、働く世代で最多の内科疾患を低コストで早期発見し、プレゼンティズムによる損失を防ぎ、健康経営と女性活躍を支える社会的意義の大きなモデル構築を目指します。